教官にも女の涙は効果的でした。

教官にも女の涙は効果的でした。

わたしが自動車免許を取得したのは20歳のときのこと。
担当教官は50歳くらいのおじさんだったんですが、この方と性格が合わず困りました。
人見知りで、愛想笑いが苦手。とくにすぐに怒る男性がまるで駄目なわたしには、その教官はまさに鬼門。
教習中も怒られるのが怖くて、指摘や注意が頭に入ってこず、言われたとおりにすることがなかなかできませんでした。
もともとどんくさい自覚があるので、当時はそれはもう落ち込みました。
今でこそ「若かったのだし、相手はおじさんなんだし、もっと要領よくしたら良かったのにな…」と思えますが、小娘だったんですねー。

 

まあ、ある意味で純粋だったともいえます。わたしの教官への苦手意識は深まるばかり。
当然それは相手にも伝わったのでしょう。その頃になると教官も、教習車に乗る前からイライラ・不機嫌な態度を隠そうともしませんでした。
ある日大きな声で怒鳴られ、わたしは恐怖とくやしさから、教官の前で涙をこぼしてしまいました。
次の教習日からは、教官の態度がまったく違いましたね。
筆記・適性テストの結果を初めて渡され、「君はこの結果が良かったんだから運転にも向いているはずだよ」と、初のフォロー。
泣いた決まり悪さもあり憂鬱な気持ちでのぞんだわたしは本当に驚きました。

 

その後は順調に仮免まで進み、ストレートで合格。
赤の他人の男性の前で泣いたのはあれが最初で最後です。
高価な教習料を思うと、涙ひとつでやりやすくなって済んでよかったのかもしれませんが、未だに少しくやしいですね。笑
とはいえ車を運転することは、自分だけでなく複数名の命にもかかわってくるので、厳しくされた方が良かったのかもしれません。